最近、EC(ElectronicCommerce/エレクトロニック・コマース、電子商取引)が新聞をにぎわせています。 関連した話題としてCALS(Continuous Acquisition and Lifecycle Support、生産・調達・運用支援統合情報システム)などもありますが、一般にはインターネット等による企業・消費者間の電子商取引をECと呼んでいるようです。ECによってもたらされる経済的なインパクトのひとつは、複数企業がネットワークで結合されて、仮想的にひとつの企業のように見える仮想会社の出現です。例えば、複数の商店がまとまって仮想的なデパートになることができます。全国の名産店を一カ所に並べることもECでは容易ですし、また、一等地に店舗を持っている必要もありません。現在でも複数の会社が「出店」している 「バーチャル・モール」がありますが、全体がひとつの仮想会社になり、店ごとに決済しなくてよくなれば、消費者側の利便性が高まります。一方、ECの発展は流通過程の中抜きなど、産業構造にかかわるようなインパクトもあります。 ところで、EC(特にインターネットをベースにした場合)にまつわる技術課題としては、次のようなものがあります。
(1)個人認証
(1)は、他人のIDを使用した「なりすまし」の防止や、「インターネットカフェ」などの共用端末から注文があったときの個人の特定、などの問題です。サーバ側についても、本当にページ上に表示されている会社のサーバなのか、消費者が容易に見分けることはできません。これは、インターネットの生い立ちに関係した問題で、インターネットにはIDを統一的に、責任を持って管理している機関がないことに原因が あります。インターネットと類似したパソコン通信やビデオテックス(Captain)で はプロバイダに各ユーザが直接登録されているために、このような問題は発生していません。端末が無断で使われたとか、IDが盗まれた場合などはどちらでも同じ状況が起こります。
(2)については、2種類の問題があると思われます。ひとつは、やはりインターネットがボランティアベースのネットワークから始まったことに起因しています。インターネットでは、ほかの通信サービスと違って、データがいくつもの別々の管理下にあるネットワークを経由します。このため、発信者から受信者まで全体を通したネットワークの品質保証が容易ではありません。また、各システムの管理者ならば、比較的容易にネットワーク上を流れる電文を見たり、改ざんしたりすることができる、という問題です。このため、データの送達確認や暗号化など、より安全な決済手段が必要になります。第二は、クレジット決済の手数料や、認証手続きの手間が容認できないような少額商品の取引を行いたい、代金引換を使ったいたずらを防止したい、などの要望によるものです。このため、 電子貨幣など新たな決済手段が検討されています。
(3)は、ある意味で最も重要な課題で、現在のECは、パソコンが扱える人でないと使えないという状況を打破する必要があることです。現在、インターネットで買い物をする人は20~30代の男性が9割程度を占めるといわれています。
(1)や(2)の課題が解決されても、老若男女だれでもが使えるようにしませんと、本格的なECの世界には到達することはできません。特にECは、企業内で業務として使われるCALSなどのシステムとは異なり、理屈だけでは発展につながらない面もあります。実物が見られない欠点をカバーできるような精細な画像や音、魅力的なプレゼンテーションなど、消費意欲をかき立てる仕組みも不可欠と思われます。これについては、CATVのアダプタ(セット・トップ・ユニット)やゲーム機を利用して、キー操作だけで利用できる
標準的なマルチメディア情報交換の規格が開発されています。 |