大森康彦(おおもりやすひこ)
慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券株式会社国際本部付部長、
セコム株式会社取締役副社長、ソフトバンク株式会社代表取締役社長、
会長を経て、 現在株式会社ケイネット代表取締役社長
通産省産業構造審議会専門委員。財団法人ニュービジネス協議会監事。
財団法人ベンチャーエンタープライズセンター審査委員。
今回は、全国的に見ても珍しい第3セクターのネットワークサービス会社、株式会社ケイネットの大森社長を訪ね、今後のネットワーク産業の行方と、ケイネットの経営戦略についてお話を伺いました。
急成長と言われますが、これまでの経緯と基本的な考え方についてお聞かせ下さい。
●先ず、再建するために手をつけたのは、今までの赤字の最大の要因である過大な設備投資にメスを入れました。その結果、収益構造の不健全化を断ち切ることができたのです。
初めに新システムを開発して、システムコストを4分の1にダウンさせると同時に、機能を従来のシステムより10倍以上にアップさせました。この大幅なリストラにより収益構造を完全に健全化に戻すことに成功しました。そしてその上に、新しい経営ビジョンと経営理念に基づいて営業戦略を練り上げました。第一にビジネス営業部門。先進国の中で日本の企業のホワイトカラーの生産性が、一番低いことが最近問題になっています。企業の間接部門の効率化、合理化に寄与するグループウェアをベースにした、情報系システムを提案する営業を展開し、これが爆発的に伸びたのです。
第二にセミナー部門。カリキュラムの充実とインストラクターにプロ意識を持たせて、能力のレベルアップを計り、ネット上にコペルニクス・スクールを日本で初めて開校しました。”スクール オン デマンド”と”スクーリング”を加えた独自のカリキュラムを開発し、これがもの凄く顧客に評価されました。
第三に個人部門。エンターテイメント分野に絞って、アニメとコミックのコンテストを開催し、次にオンラインマガジン「ゲームバスターズ」を発行しました。また、オフメディアのCD-ROMに通信ソフトをくわえまして「キュリオシティ」の名のもと、メディアミックスの新商品を打ち出しました。次から次へと矢継ぎ早に新商品を開発し、業務展開を積極的に行いました。そして、サービス名称も”コペルニクス”に変えて、企業イメージを大変身させました。このことによって、前年比売上は2.2倍、新規会員数の伸びはなんと前年比5倍強にも伸び、とくにスクール部門は前年比8倍と驚異的な伸びを勝ち得ました。
今後のネットワーク産業が進む方向、未来像については、どのようにお考えでしょう か?
●産業の発展の歴史を見ると分かりますように、どんな産業の成長過程を見ても、スタートアップの段階は、先導している企業が何でもかんでもやっています。第2、第3の発展段階にくると、それぞれ得意な分野に分業して、それぞれの特化した企業群が絡まって成長発展し、その産業の市場規模をより大きくさせるのです。そして、その時代の核(コア)産業として、市場原理の中で公正な競争をして、その時代の経済成長を押し上げて行くのです。
例えば、工業化社会でいえば自動車産業を見れば分かるように、最初の発展段階はフォードが革新的な発想のもとに、すべてを内製化した生産システムで大発展させました。ところが後に市場規模が大きくなる過程の中で、ゼネラルモーターズ(GM)を自動車王国にした偉大な経営者、スローンが出てきました。彼は、フォードのように何でもかんでも自分のところでつくるのではなく、それぞれの機能を分業させ、特化して、それを買ってアセンブルするだけ、という今日の自動車産業の原型になっている経営手法をつくり出したのです。このようなプロセスでどんな産業も発展して行くのです。
ネットワーク産業にも同様なことが起きると。
●そうです。同じようなことが、これから21世紀に向けてのネットワーク社会で起こってくるはずです。産業規模が大きくなったら、必ず企業が分業して支えるようになります。ネットワーク産業も同様です。いわゆるインフラ屋さんである「ネットワークプロバイダー」が出てくる。次に、このインフラをバックボーンとして借り受け、ハードとソフトを加えて、お客さんが使い易いようにする「オンラインシステムサービスプロバイダー」が出てくる。そして最後に情報提供する「コンテンツプロバイダー」が出てくるのです。この三つが絡まって、はじめてネットワーク産業というものが、工業化社会における自動車産業と同じ位置づけになれるわけです。そして今後は、この三つの分業化した企業群と、もう一つ情報端末としてのパソコン市場が成長して、この二者が絡まって、ネットワーク社会をつくり出して行くのです。今はちょうど、夜明け前のような状態なのです。
そのような産業構造の中で、ケイネットはどのような方向を目指しているのですか?
●ケイネットは、この第三のグループである、コンテンツプロバイダーを目指します。即ち「ContentsProviderwithPackaging&Hosting」です。これは単なる制作会社ではありません。顧客が求めるコンテンツを創り込むのです。あくまで、顧客が求めるコンテンツに加工して提供する能力をもった制作会社であり、かつまた、顧客が安心して情報をネット上で売ったり買ったり、信頼できる配信力をもった制作会社を目指すのです。そのために“新しく利益を生み出す仕組みを創り出す”能力をもったリーダーと、“自分の力で顧客が求める価値を生み出す” プロフェッショナル社員とで構成する、専門機能集団を指向して業務展開して行こうと思います。
COPERNICUS HOME PAGE
|