メセナスからの便り
「人と人との輪がメセナ活動を支える」

◎ディジタル・イメージ事務局 代表
◎株式会社シフカ代表取締役社長・プロデューサ

長田智行

 


NTTグループは様々な分野で積極的にメセナ活動を行っています。 NTTソフトウェアがメセナ活動の一環として公式ホームページを提供するディジタル・イメージの活動について、プロデューサの長田智行氏に語っていただきました。

――まず、ディジタル・イメージの活動と発足した経緯を教えて下さい。

長田◎私たちの組織は、ディジタル・アーティストの自主的な集まりで、現在では200名を数えるまでになっています。1990年の発足以来、展覧会を中心にシンポジウムの開催やCG作品集の出版などを行っています。
私はコンピュータによる画像制作全般を扱うシフカという会社の代表でもありますが、シフカはディジタル・イメージ同様、アーティストの集まりです。中には辞めていく社員もいて、優秀な元社員との付き合いを会社組織を越えて大事にしたかったというのが、この活動をはじめた最大の理由です。
また当時、「シフカネット」という草の根パソコン通信を主催していました。そこでNTT│PCやニフティといった他のパソコン通信業者と知り合いになり、「もっと幅広く展覧会をやる方法はないのか」「会社や団体とは関係のない組織をつくろう」といった話が進展して、1988年にいまのディジタル・イメージの前身ができたわけです。

――スタートした当初からボランティア的な側面のある組織だったのですね。運営をスタートするにあたって、資金はどのように集められたのでしょうか。

長田◎そもそもお金も何もない人たちが集まって「何かやりたいね」「こういうことをやれたらいいね」という話からはじまった活動です。
当時は、ちょうどバブルの頂点からちょっと下がったくらいで、企業もまだまだ文化活動に資金を提供するだけの体力があった時期です。以前、ある大手銀行の方がディジタル・イメージを見てくれていて、個人的に支援していただいたことがあります。それこそ途方もないお金が集まるという話もでてきたんですが、メセナでお金を集めるということが目的化してきて最終的にその支援をお断りしました。
私どもはお金を集めることを目的として活動しているわけではなく、アーティストが経済的な心配をせずに作品の制作と発表ができる機会を提供したいのです。

――ディジタル・イメージの活動・理念と経済的な問題を解決するのは難しいことなのですね。

長田◎はい。案外このような活動に協力してくれる企業は少ないというのが事実です。メセナ活動に積極的に取り組んでいると言われる企業の方々とお話しをする機会がありますが、ほとんどの場合「これを支援すると何かメリットがあるのか、見返りがあるのか」と言われます。
私どもは将来の日本の文化と若い人を支援し、育成することを目的としているので、見返りを期待しているわけではないのです。

――そのような中で、銀座ワシントン、イマージュ、インプレス、マイクロソフトといった、多くの企業がディジタル・イメージの活動を支援していますね。

長田◎協賛・協力企業は昨年よりも減ったのですが、逆にすごく協力してくれる会社もでてきています。ある意味ではディジタル・イメージを通して、人と人との輪ができている。いま挙げていただいた企業にしても、以前からの知人が代表であったり、社員がディジタル・イメージに参加していたりしています。
スタートした当初は「何の集まりかよくわからない」と言われましたが、今はおかげさまで参加することにステータスを感じて下さる方もいます。また、参加アーティストが食べられるようになったことも大きいのではないでしょうか。ここでの活動を通してビジネスチャンスをつかんでいる参加者もたくさんいます。この意味で、御社に公式ホームページを提供して頂いていることは、活動自体を世の中に知ってもらうという意味で非常に大事なところだと考えています。

――最後に今後のディジタル・イメージの活動をお聞かせ下さい。

長田◎まず、アーティストが集まって各々の制作をし、話しができ、酒を飲みあえるサロン的な美術館をつくりたいです。もちろん一般の人も自由に出入りができ、可能であれば参加アーティストとコラボレーションもできるスペースです。
また、これからは人を育成することに力を入れていかなければならないと考えています。手先が器用な人が多い日本には、かつて浮世絵という世界に誇る美術文化がありました。この意味で、ハイテク分野でも世界をリードする日本では、CGが現代の浮世絵になりえると考えています。しかし、浮世絵が現代に至っても国や企業、団体から保護されているのに対し、CGは全然支援されていません。今後のディジタル・イメージは人材発掘や人材育成といった人のデータベースも充実していきたいと考えています。