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次世代インターネットに向けての世界各国の取り組み
 
商用サービスが一般化し、画像や音声といったマルチメディアを扱えるネットワークの大容量化、高速化が課題となっているインターネット。今回は世界各国における次世代インターネットに向けての取り組みを、韓国科学技術院のDr. Kilnam Chonがご紹介します。(インターネット技術センター長 後藤滋樹)
 
研究と実験から商用化への取り組み

いまでこそ商用サービスが一般化し、140ヵ国以上を網羅するインターネットも、現在の通信技術と環境が整備されるまでに、欧米やカナダ、アジア各国でインターネットの商用化に向けたさまざまな研究と実験が行われてきました(図)。

図

インターネットは、1960年代後半に米国国防総省(DoD)高等研究計画局(DARPA)が分散コンピュータシステムの構築を目標にスタートしたARPAnetに端を発しています。当初ARPAnetは実験的なネットワークでしたが、70年代後半に開発されたネットワーク接続のための共通ルールであるインターネット・プロトコル(IP)によって規模が拡大し、技術的にも安定したものへと発展していきました。

その後、インターネットは83年、研究用のARPA-netと軍用通信網のMILnetに分割されました。そして85年に全米科学財団の資金援助によってNSFnetが構築、91年にはIBM、MCI、Meritの出資によるコンソーシアムのANSが設立され、民間も利用できるインターネット商用化への道が開かれました。

一方米国でARPAnetがスタートした頃、日本ではN1−netと呼ばれる実験が始まりました。その後もNR−net、IM−netなどが構築されましたが、米国ほど広範で安定したネットワークには発展しませんでした。

こうした状況は欧州や韓国など他のアジア諸国でも同様でしたが、その理由として、これらの地域がインターネットの商用化、事業化に積極的でなかったことが挙げらます。ちなみにカナダでも米国と同様にインターネットの普及が進み、CA*net2及びCA*net3と呼ばれるネットワークが技術的にも格段の進歩を遂げましたが、これは積極的な事業化とそれに伴う技術革新の結果と考えられます。

とはいえ、日本や韓国でインターネットの商用化が進められなかったわけではありません。80年代に日本で設立されたJUNETはプロバイダーのIIJへと発展し、同時期に韓国で創設された研究ネットワークのSDNに関しては、韓国テレコム及びINETが引き継いでインターネットの商用利用を推進しました。

ネットワークの大容量化、高速化に対応する様々な技術

商用化に向けたこのような研究と実験を重ねてきた結果、インターネットは着実に私たちの社会に浸透しつつあります。そして現在、画像や音声といったマルチメディアを扱う情報通信が主流になり、次世代インターネットとしてネットワークの大容量化、高速化が課題となっています。

これらの問題に対処する方策として、米国では非同期転送モード(ATM)の技術を用いたvBNS(veryhigh−speedBackboneNetworkService)や、Abileneプロジェクトによって超高速ネットワークを構築するための研究を続けています。Abileneは、SONET(SynchronousOpticalNetwork)をベースとした光ネットワークで、2.5Gbpsの帯域幅を実現するものです。

また、GigaPOPと呼ばれる超高速の相互接続地点の構築も重要視されてきています。高度情報サービスを集約することによって、高速で高品質なネットワークをより効率的かつ安価に利用することを可能にするGigaPOPは、米国とカナダの研究ネットワークですでに運用され、欧州でも構築され始めています。日本ではまだ一般的に認知されていませんが、今後取り組むべき分野と言えるでしょう。

さらに、米国におけるスーパーネットやカナダのCA*net3など、より膨大な情報を処理するための第3世代のインターネットを見据え、波長分割多重(WDM)の技術に関する研究も進められているほか、欧州でも欧州各国の研究機関を高速ネットワークで結ぶTEN−155計画が開始されています。

ネットワーク・プロトコルの技術開発も重要な課題です。インターネットの爆発的な普及によって、現在のIPはマルチキャスト通信など、今日必要とされる機能に十分対処できなくなりつつあります。新たなIPとしてIPバージョン6(IPv6)の研究が全米科学財団の支援で進められていますが、日本もこの問題を重要視し、解決に向けた取り組みを見せています。

アジア太平洋地域には、APAN(AsiaPacificAdvancedNetwork)が築かれていますが、その接続速度は10?100Mbpsほどであり、まだ高度なネットワークが実現しているとは言えません。APANは北米地域や欧州との協力でさらに発展を目指すことが必須となるでしょう。また、技術的に最も発展した日本は、アジア諸国と連携してネットワーク整備をより促進していくことが求められるでしょう。
 

Dr. Kilnam Chon Korea Advanced Institute of
Science and Technology(韓国科学技術院)
Computer Science Dept.
Dr. Kilnam Chon
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