メセナスからの便りSO-
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「ロボット相撲が導く技術の未来」富士ソフトABC株式会社 石井健二
 
石井健二氏 NTTソフトウェアがメセナ活動の一環として富士ソフトABC主催の「全日本ロボット相撲大会」に協賛し、今年で7年目になります。今回は、技術職離れの進む昨今、若い世代にモノづくりの醍醐味を伝える上で意義深い活動を行っている富士ソフトABCの広報室室長で大会事務局長の石井健二氏にお話を伺いました。

――御社がロボット相撲に着手されたきっかけは何だったのでしょうか。

石井◎1990年3月の創立20周年記念事業として企画したのがそもそもの発端です。「国技である相撲をロボットにやらせたらどうだろう」というアイデアが出まして、芝浦工業大学工学部の春日智恵教授や早稲田大学の永田勝也教授にご相談したところ、マイクロマウスの技術が活かせるとか、具体的に造ってみようとかの話になりました。

89年に試作ロボットによる実験戦を行ったのですが、その時にかなりの手応えがあり、やがてリクルートの一環として広く大学に声を掛けようという話に発展していきました。私どもの仕事は形のある製品を作るわけではないので、社会的認知度の点では弱い部分があります。そこで、こうした活動を通じて学生のみなさんに当社の姿勢をアピールしていきたいという思いもあったのです。

――現在、ロボット相撲には多数の企業が協賛されていますが、始められたころはいかがだったのですか。

石井◎当初は自社の企画ですから協賛は全くありませんでした。大きな転機となったのは、92年に文部省職業教育課からお話があったことです。子供たちの科学離れ、技術離れが深刻化している昨今、工業高校をもっと活性化させなければいけないと考えていたところ、ロボット相撲の存在を知ったとのことでした。「ついては第5回(93年)大会開催にあたって、ぜひ高校生の部をつくって全国展開してほしい」という要請を受けました。一企業の試みから大きく輪が広がっていったのはこの時期です。私どもだけでは力の足りない部分も出てきましたので、各社に声をかけて御協賛をいただくようになりました。

――最近は「アイボ」のようなロボットペットも登場していますが、学生や一般の方のつくるロボットもやはり年々進歩しているのですか。

石井◎形、機能ともに相当高度化してきています。現在主流となっているのはバキューム機能を搭載しているロボットです。当大会のルールは、大きさと重さの制限を設けていますが、つくる立場からすると最もネックになるのは3kgという重さの範囲内でいかに高度な技術を集約するかという点です。ロボット相撲の場合、投げ技より押し技のほうが機能として盛り込みやすいのですが、押し出しで勝つためには相手よりも重量を重くする必要があります。バキューム機能搭載のロボットは、止まっている状態で計量すると3kgですが、試合が開始すると自らが土俵に吸い付いて約70kg近い重量になり、かつ迅速に動き回ることができます。ルールに触れない範囲で次々と新しい技術が生まれているのです。

――大会の結果を見ると、上位はほとんど高校生ですね。

石井◎最近の工業高校の設備には目を見張るものがありますし、クラブ活動にしろ授業にしろ複数で切磋琢磨できる環境が整っているからではないでしょうか。複数台作り、互いに戦わせて弱点を克服するなど、相撲でいう「稽古」がつけられるのです。

また、当大会をきっかけに生徒自身の向上心が芽生え始めたというお話も先生方から耳にします。ある工業高校の校長先生からは、ロボット相撲に参加するようになってから卒業後の就職先にも困らなくなり、工業系の大学の推薦枠にも入れていただいたという話を伺い、続けてきてよかったなと嬉しくなりました。

第10回大会試合風景 ――昨年は第10回の記念大会としてアメリカ遠征も果たされましたね。

石井◎サンフランシスコとロスアンゼルスに上位入賞者が遠征し、現地の選手と試合をしてきました。若い人たちがこうした大会で海外に出向くのは非常に意義があることだし、ロボット相撲を海外に広めるのにも良い機会ではないかというご意見をたくさんいいだきまして、今年も引き続き実施することにしています。これは「ロボット作りを通じて技術の基本を習得し、技術研究の目的をもつことにより研究意欲と創造性発揮の場を提供する」という本大会の開催目的とも大きく重なると考えています。

――ロボット相撲はすでに10年の歴史があるわけですが、今後はどのような展開をお考えですか。

石井◎大きなところでは、科学技術庁が推奨する2001年開催の「ロボット国際創造世界大会」(ロボフェスタ)への参加を予定しています。また、これは具体的な話ではありませんが、ロボカップというロボットサッカー競技が全世界的に話題になっていますので、そのような団体競技(チーム競技)にも目を向け始めているところです。味方と敵を見分けながら動き、ゴールにも目配りしなければならないサッカーは、さらに高度な技術が要求されることは間違いありません。その分やりがいもあると思います。
 

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