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はじめに
1990年代の最後を飾るTELECOM99が、昨年の10月スイスで開催された。TELECOM99は、「電話の時代は終り、新たな2000年代はインターネットあるいはIP(インターネットプロトコル)網でスタートする」ことを全世界に印象付けた。
TELECOMは国際電気通信連合(ITU)が4年に1回開催する「通信のオリンピック」である。これまでは、電話会社の、電話会社による、電話会社のための祭典であり、背後に迫るインターネットの足音を気にはしていたが、電話会社は特に恐れることなく、電話網のデジタル化や改良、携帯電話に着目したイベントを行っていた。しかし、前回のTELECOM95から4年を経過した今回の祭典では様相が一変した。「電話インフラが舞台から姿を消し、インターネットが21世紀の基幹通信インフラの座を獲得」「インターネットという巨獣が世界中を席けん――通信の世界に存在していた垣根、規制をことごとく打ち崩す」ジャーナリズムは、TELECOM99をこのようなセンセーショナルな見出しで報道した。
好むと好まざるとにかかわらず、私達の社会生活は、インターネットによるコミュニケーションを無視することはできない。電話時代のコミュニケーションが、主として人間と人間との間のコミュニケーションであったのに対し、インターネット時代は、人間とコンピュータ、コンピュータとコンピュータのコミュニケーションが大きな役割を帯びてくる。これらの新しいコミュニケーションは、日常私達が生活している現実世界をインターネット上に拡張した仮想的なコミュニティ、いわゆるCyberSocietyを生み出してきている。Cyber Societyの中には、(1)人と人との出会いや人の活動の支援(2)情報伝達、情報共有・分配の支援(3)情報探索と情報へのアクセスの支援(4)問題解決の支援、を行うためのコミュニケーションの場(コミュニティ)が存在している。これらのコミュニティは、私達からはCyberSocietyを構成する仮想商店街、仮想図書館、仮想大学、仮想広場などとして認識される。基盤技術の発展に伴ない、私達は日常生活と同じ方法でCyberSocietyの中で生活できるようになってきている。世界各地で研究開発と商用化が進められている新しいコミュニケーションは、先端技術に支えられ、現実の人間社会とインターネット上に構築される仮想社会のシームレスな融合を目指している。
本稿では、インターネット時代を支える多くの基盤技術の中から、21世紀の新しいコミュニケーションやサービスの原動力になるエージェント技術、XML、自然言語処理技術、画像処理技術といった基盤技術を取り上げ、技術の概要と現状の到達点、そして技術が生み出す新しいコミュニケーションやサービスの具体例を紹介する。
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