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コラム

坂本泰久 「ASPコンソーシアムの動向」
 
 起業部カリフォルニアセンター
 坂本泰久

ASPは本物なのか、それとも一時のブームにすぎないのか。その答えはASP発祥の地アメリカでもまだ出ていません。しかし、多くの人の期待を集めていることは間違いありません。これを端的に示しているのが、米国の業界団体であるASP Industry Consortiumの参加社数の急増ぶりです。このコンソーシアムは昨年5月にSun、Cisco、IBM、Compaq、AT&Tなど大手25社で旗揚げされた後、わずか3ヶ月で100社の獲得を達成し、今年の初めには300社を超える規模になりました。今でも毎日2?3社のペースで増え続けており、この盛況ぶりからみて、今後のASPの方向性にかなりの影響力を持つと思われます。

コンソーシアム活動は非営利で、そのミッションはASP産業全体の育成振興です。他の多くのコンソーシアム、W3C、Rosettanet、Bluetooth、eBook等のように、ある規格の標準化を目指す動きではありません。活動は、会議の後援、市場調査研究、事例収集、ガイドライン策定といった後方支援的なものに限られています。どちらかというと日本的な啓蒙のやり方とも思えるこの支持団体が、米国でなぜこれほどまでに盛り上がっているのでしょうか。情報収集だけなら他にいくらでも良い方法がありそうです。

表1答えの1つは、「企業間のパートナーシップが成功の鍵となる」というASP事業の特質にありそうです。ASPでは、1つのサービスを提供するにも、ネットワーク接続、データセンタ、アプリケーション管理、カスタマイズ、ヘルプデスク、コンサルティングなど、多くのバックエンド機能を、高いサービス品質を維持しながら統合する必要があります。そのためには、それぞれの得意分野を持つ複数の組織による協業が不可欠です。コンソーシアムは、それらの企業に出会いを提供する、いわば異業種交流会のような役割を果たす場として本質的に求められる存在だったといえます。したがって、メンバの構成を見ても、大小のASPをはじめとして、ハード/ソフトウェアベンダから、キャリア、ホスティング、SI/コンサルまで、幅広い業種にわたっています(表1)。

今日のASPブームの仕掛け人ともいえるのが、コンソーシアムの会長を務めるTraverGruen−Kennedy氏です。創立メンバの中核であるCitrix社の事業部長でもある同氏は、自社製品の事業開発を通じてASPという未来のサービスモデルにいち早く気づき、設立前から積極的な普及活動を続けてきました。そしてコンソーシアムの立ち上げ成功により、昨年末には業界誌でBillGates氏らと並んで、影響力を持つトップ25名にも選ばれています。Kennedy会長は雑誌インタビューで、ASPの本質は「最終的にはバックエンドシステムをすべて結合し、企業間の仲介サービスまでも提供できる立場にあることだ」と述べています。

彼のビジョンどおりに、ASPをきっかけとして基幹業務までもがサービスとしてアウトソーシング化され、さらに統合されて壮大な社会基盤に発展するのか、まだ第一段階の今では何ともいえません。しかしコンソーシアムの急激な拡大を目の当たりにすると、少なくともコンピュータネットワークの進化過程における節目のひとつになるのではという予感がしてきます。メインフレームへの接続からはじまったネットワークコンピューティングの歴史は、端末処理能力の向上によりサーバ/クライアント方式へと移行しました。そしてWebブラウザの浸透とネットワークインフラの発展を経て出現したASP構想は、その処理の中心を再びサーバへと回帰させようとしています。経営者たちはこのターニングポイントをすばやく感じとり、ASPコンソーシアムという傘に入りつつ、着々と次の5年間に向けた布石を打っているようです。
 

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