起業部カリフォルニアセンター 坂本泰久
コンソーシアム活動は非営利で、そのミッションはASP産業全体の育成振興です。他の多くのコンソーシアム、W3C、Rosettanet、Bluetooth、eBook等のように、ある規格の標準化を目指す動きではありません。活動は、会議の後援、市場調査研究、事例収集、ガイドライン策定といった後方支援的なものに限られています。どちらかというと日本的な啓蒙のやり方とも思えるこの支持団体が、米国でなぜこれほどまでに盛り上がっているのでしょうか。情報収集だけなら他にいくらでも良い方法がありそうです。
今日のASPブームの仕掛け人ともいえるのが、コンソーシアムの会長を務めるTraverGruen−Kennedy氏です。創立メンバの中核であるCitrix社の事業部長でもある同氏は、自社製品の事業開発を通じてASPという未来のサービスモデルにいち早く気づき、設立前から積極的な普及活動を続けてきました。そしてコンソーシアムの立ち上げ成功により、昨年末には業界誌でBillGates氏らと並んで、影響力を持つトップ25名にも選ばれています。Kennedy会長は雑誌インタビューで、ASPの本質は「最終的にはバックエンドシステムをすべて結合し、企業間の仲介サービスまでも提供できる立場にあることだ」と述べています。
彼のビジョンどおりに、ASPをきっかけとして基幹業務までもがサービスとしてアウトソーシング化され、さらに統合されて壮大な社会基盤に発展するのか、まだ第一段階の今では何ともいえません。しかしコンソーシアムの急激な拡大を目の当たりにすると、少なくともコンピュータネットワークの進化過程における節目のひとつになるのではという予感がしてきます。メインフレームへの接続からはじまったネットワークコンピューティングの歴史は、端末処理能力の向上によりサーバ/クライアント方式へと移行しました。そしてWebブラウザの浸透とネットワークインフラの発展を経て出現したASP構想は、その処理の中心を再びサーバへと回帰させようとしています。経営者たちはこのターニングポイントをすばやく感じとり、ASPコンソーシアムという傘に入りつつ、着々と次の5年間に向けた布石を打っているようです。 |