社長対談SO-
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社長対談 「情報通信の発展と遠隔教育の可能性」
甕昭男 氏
モバイル先進国・日本

鶴保●情報技術は助走期から発展期を経て、いよいよ爆発期を迎えています。通信と放送の垣根が急速に取り払われつつあるのも、その一局面でしょう。それにともない、国の情報通信分野における施策もさまざまに変化していくと考えられます。そこで今回は、郵政省で情報通信分野の技術政策と開発を長年指導してこられ、現在は放送大学学園理事を務められている甕(もたい)昭男さんをゲストに迎え、わが国の情報通信を取り巻く状況の変化と、それが社会に与える影響の中でも特に重要な教育との関連についてお話を進めていきます。まずは、わが国の情報通信の現状についてどうお考えでしょうか。

甕■国際的にも国内的にも、情報通信の世界はこの10年間で相当に様変わりしました。わが国においては、NTTの民営化を契機に競争政策が導入されて多くの事業者が参入した時点が変化のスタートと見れば、情報技術の研究開発が急ピッチで行われ、それが速やかに市場に反映された成果がこの10年で多く実ったという気がします。私も国の技術政策に携わるなかで、これほどのスピードで変化が起きたことに正直驚いています。

鶴保●最近は特にモバイルの技術開発と応用展開は目を見張るものがあります。これもやはり技術革新の成果が即座に市場に反映された結果と考えられますね。

甕■モバイルに関しては日本が最も進んでいると言ってよいでしょう。もちろんその根底は、使い勝手の良い小さな端末が開発され、電話ばかりでなくインターネットもモバイルで扱えるようなデジタル技術が進展した結果と言えます。しかし、これだけモバイルが日本で広く普及した大きな要因は、若者のモバイルに対する理解の深さにあると思います。プライベートであろうとビジネスであろうと「いつでもどこでも誰とでも」、そしてもうひとつ加えて「どんな情報でも」という若い人たちの活発なニーズに、携帯電話やPHSがぴったり合致しました。それが結果として経済活動をうまく支えてきているので、今後の伸びもまたいちだんと期待できるのではないでしょうか。

PHSは一時停滞していましたが、ここへ来てモバイルコンピューティングのツールとして再び注目を集めています。振り返れば、PHSは当初コードレス電話のデジタル化という発想から始まり、当時はまだ携帯電話が高価でしたから、若干使い勝手が悪くても低廉なモバイル機器、という想定がありました。審議会で多くの方々の議論を集約する際、ISDNにうまく直結でき、音質も高品質で将来のデータ伝送をにらんで伝送速度を64Kbpsと設定したことに非常に先見の明があったと思います。

鶴保●1998年9月に、郵政省も立ち上げに大いに関与した横須賀リサーチパーク(YRP)がオープンしました。モバイル関連の研究技術開発の一大拠点として多くの産官の施設が集まっているのは世界にも例がないと聞いています。この辺にも日本のモバイル関連の先進性が現われていると思います。

甕■YRPは、1986年に公布・施行された民活法によって整備された電波・情報通信技術の研究開発拠点ですが、広く海外の企業にも研究参加を呼びかけたことで、国際的な拠点となりました。現在YRPで活動する研究者は5000名と聞いていますが、最近ではITS(Intelligent Transport Systems)の研究も動き始めています。今後も研究者の国際的な知的ネットワークの広がりと情報通信の国際化・標準化につながる研究成果を期待したいところです。
 

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