ゲノム科学とコンピュータ科学SO-
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ゲノム科学の現状と将来
現在、ゲノム解読が予想を上回るスピードで進み、各分野での応用の機運が非常に高まりつつある。ゲノムの塩基配列の解読に当たっては、膨大な分析結果をコンピュータに蓄積し、その都度、データとの照合を行うというようなITとの連携が必要不可欠なものとなってきている。NTTソフトウェアでも、このゲノム解読のための情報技術 (IT) の開発を行っており、今後この分野への貢献が期待されている。
21世紀の科学技術の発展のためには欠かすことのできない、このゲノム科学とITの現状について、現場よりレポートする。

はじめに

 ゲノム科学に代表される遺伝子関連の研究開発は、近年著しい進歩を遂げ、その成果が産業応用に直接結びつくなど、大きな期待が寄せられている。

表1

 生物は細胞の中に染色体DNA(ゲノムDNA)をもっており、ゲノムDNAは遺伝子情報を持つDNA(デオキシリボ核酸)と塩基性タンパク質を主成分とする長い2本のヒモ状の鎖が相互に結合したもの(塩基対)である。ヒトやマウスのゲノムDNAは30億の塩基(文字)からなるといわれており、その塩基対の配列のなかに遺伝情報が隠されている。この文字の配列を解読する作業は、1990年に日米欧政府の国際共同プロジェクト「国際ヒトゲノム計画」で開始され、解読した遺伝情報が人間の染色体のどこに位置づけられているかといった詳細な解析が2005年に終了する予定で進められてきた。既に昨年10月に22番の染色体の解読が完了し、今年の4月には21番の染色体も完了した。しかしながら、一昨年5月に設立された米国のベンチャー企業が大規模な超高速解析装置を導入して、9月よりヒトゲノムの解析に着手し、2003年までに全てのヒトゲノムの解読を終えると発表して以来、国際共同プロジェクトも目標を2003年までに繰り上げ、今年6月までに「ドラフト」と呼ばれる概略情報の解読が完了する運びとなっている。一方、同ベンチャー企業は今年6月末にはヒトのゲノム解読を終える予定であると発表し、関係者に大きな衝撃を与えている。ゲノムDNAの解読によって、その中に含まれる多様な遺伝子情報が解明され、それをもとに新たな医薬品の開発や遺伝子治療などが可能になる等、産業分野や医療分野へのインパクトは極めて大きいものがあり、これら一連の動きは、如何にゲノムに賭ける期待が大きいかを物語るものである。これまでのDNAに関係する経緯を表1に示す。

ゲノム(genome)
ひとつの生物をつくるのに必要な最小の遺伝子のセット。
DNA(deoxyribo nucleic acid:デオキシリボ核酸)
遺伝情報を持つ最小の機能的単位で、遺伝する形質に対応する。
ヒトゲノム計画
ヒトには約10万個の遺伝子が約30億個の塩基対の染色体DNAに記録されていると推定されているが、これらの情報を解読する計画。まず、すべての染色体の塩基対配列を確定する。つぎに、どこの塩基対配列がどの遺伝子に対応するかを確定する。解析結果のデータは膨大な量になるため、これを生物学的に意味を持った情報にして遺伝子データベースとして蓄積する。
染色体
細胞分裂の時に、核内に現われる特殊な色素に染まる棒状の物質で、遺伝子の集合体である。
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