情報が集って美しいコンチェルト「協奏曲」を奏でている。モーツアルトのピアノ協奏曲21番のように。情報はひとつでは意味を持たない。二つ以上になって初めて差異を生じ、意味を持つ。いま世界は無数の情報によって織り上げられている。では世界は制御不能な雑音の塊かというと、そうではない。バラバラに勝手に動いているように見える情報も、よく聞くとひとつの大きなハーモニーを奏でているのだ。世界も宇宙も、意味するところは同じである。どちらも時間×空間としての「時空」である。
「世」は過去、現在、未来、「界」は東西南北上下。「宇」は天地四方、「宙」は古往今来。「私は空間というものは物に席を与えるものだと考えている。どの席を占めるかで粒子の特性が決まる。時間というのはその席のうずめ方の変わりぐあいだ。どの部屋に入るかで運動状態が決まる」とは湯川秀樹博士の言葉だ。激しく錯綜する時空のなかで、情報も自ずからの意味と位置を悟り、そこに定まり、ひとつの大きなハーモニーの一員となっていくのだろう。セルフオーガナイゼーション。情報の自己組織化。
さなぎが蝶に、おたまじゃくしが蛙に変身していくように、情報は自・u毆)ら生命体化してその最終形へとまっしぐらに突き進んでいるように見える。いや、そうではないのかもしれない。自己組織化も進化もすべて人間が考え出した概念に過ぎず、世界はただ神が奏でる協奏曲として、無限の変容を続けているだけなのかもしれない。
橋田正一(ライター)
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