SEED 未来を創るソリューション提案誌・SO- Make bit happen.
2001.AUTUMN Vol.18
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  相 ・・・相対し、見つめているものは何か?
 古書に相とは「省視するなり」とある。そこから「向かい合う」「あい対する」という用法になるらしく、本来は「つぶさに視る」という意味で、木とそれを注視する目からの会意で成立した字である。人は見つめる。不安やおののき、あるいは期待をこめながら、息をつめ何事かをじっと見つめる。見つめるものがはっきり目に見えるものでなくとも、その輪郭を知ろうとする。その見えないものを見つめようとする意思が古今東西で占法を生み、発達させてきた。易という占法がある。(陽爻:ようこう) 、(陰爻:いんこう)という、陰陽二つの記号を三本まとめて卦をだす。この卦が二の三乗分あるので八卦という。当たるも八卦、当たらぬも八卦というあれである。この八卦を上下に重ねて、計六十四通りの卦を定めるが、陰は陽に陽は陰に変化する場合があり、未来は不定のものであることが知れる。また個々の卦についての解釈である爻辞(こうじ)も暗示と象奪に満ち、その人間の期待や不安などの心の状態をも微妙に反映するので、読み解くには卓越した洞察力が必要となる。欧米に易が紹介されたときの書名は『変化の書』であり、訳者はユングの知己であった。易は精神分析である、という研究者の言はそのゆえんであろう。未来という見えないものは、それに関わる人々の現在の内奥を投影する。未来は現在によって微妙に彩色され、輪郭が定められてもいるのである。木を見つめる人は、木を見つめる己とその揺れ動く心の像もどこかで注視している。
梅澤北明(ライター)
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