「邂逅」の場としてのサイバースペース。
最近、サイバースペース研究所長という肩書きもあってか、サイバースペースがどこへ向かうのか、各界の方からご質問を受けることがよくあります。EC(電子商取引)にしても、インターネットそのものにしても、これから急速な発展が見込まれているだけに、その方向性について様々な意見があるのは当たり前のことです。当然私自身も、サイバースペース研究所での活動を含めた自らの経験から、常に問題意識をもちこの課題に取り組んでいます。
ネットワークを介したサイバースペースは、これまで人類が体験してこなかった様々な可能性を提供しています。ただ現状の取り組みを見ていると「既存のやり方」をそのままサイバースペース上に持ち込もうとする場合が多いようです。既存の方法論でインターネットに取り組み、これまで通りの収穫を期待しているような、提供者本位のやり方では、うまく行くはずがありません。その意味では現時点での、特に企業を主軸にしたサイバースペース上の動きはまだまだ奔流になり得ないのではないでしょうか。
それではサイバースペースに取り組む上で必要なのは、どの様な考え方なのか。私自身は「邂逅」という言葉にその本質をみています。偶然にして必然の出会い、それが「邂逅」です。例えばWebサイトには膨大な量の情報が拡がっています。知りたい情報を探し、新たな知識を得る。現在でも問題意識を持ったものにとって(これが肝心なのですが)、Webサイトは非常に高い利便性を提供しています。しかし得た知識から新たな何かを創造する場には、まだなり得ていません。偶然に出会った何かにより、自らが持っていた課題が解決され、新たなる創造につながる。このような偶然の出会いを実現する場こそが「邂逅」の場というわけです。
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三菱マテリアル株式会社取締役 サイバースペース研究所長 工学博士 高野陸男 |