菊池 皆さんの努力が実って、今年の2月にJQA(日本品質保証機構)から認証をいただきました。私がISO認証取得を決意したのは平成6年の秋頃でした。ちょうどそのころISOの国際標準9001(第2版)ができあがってソフト業界もそれに目を向け始めていました。それまで進めていたSPA活動の基礎も当本部ではほぼ固まってきたので、ISO認証取得に挑戦することになったわけです。
柿澤 そうですね、現実的な動きとして我々は、平成6年11月頃、ISO認証取得準備委員会を発足させました。そこで規範の整理や全体の取得の段取りなど管理者を中心に決めてゆきました。
私自身は主に規範の方を担当しました。まずはISO9001の要求規格を勉強し、それから既存の作業標準とのすりあわせや、プロジェクトの開発工程で作成している資料類を整理して規範の体系を作りました。ここで大変だったのが既存の標準をどのように取り込むかということでした。
平成7年7月に規範の第一版ができ、10月から規範に基づくプロセスの実践を開始、その後は準備委員会の場で規範類の不明点や実践上の問題点など議論を進め不具合の是正をはかってきました。
笠木 これらの活動によって、ISOを浸透させていく段階になったのですが、ISOのプロセスを実際にどのようにして全社員に浸透させていくかが次の課題となりました。ISOはトップダウンの活動であり、まず社員に浸透させるにはリーダに浸透させなければいけないという問題意識のもと、リーダへの啓蒙活動から始めました。ISO関連の図書を配布し、各リーダの知識や意識の向上を図るとともに、平成8年5月から、各プロジェクトでISOを実践する過程での問題点や進捗状況を準備委員会傘下のワーキンググループで毎週検討しあいました。
また、ISOのプロセスがどのくらい浸透し正しく理解されているかは、第三者による監査で確認しました。プロジェクトリーダはかなり苦労したのでは?(笑)
前田 そうですね、まず行ったことは開発計画書の改版です。以前から弱いと言われていた承認関係を開発計画書の中できちんと規定して、プロジェクトメンバに浸透させていきました。苦労といえば、その時の規範が流動的だったので、開発計画書作成の手戻りが多かったということです。もう一つ行ったことが、文書管理と記録管理でしたが、ここでも何が文書で何が記録かという判断に苦労しました。予備審査で言われたことはやはり承認関係が弱いということで、変更してもトレーサビリティがとれないという点を改善するのが難しかったです。私たちのプロジェクトはペーパーレス化を目指しており、それが仇になったのでしょうか、電子ファイル上でサインとなるとあまり説得力がないということで、一番苦労したのが電子認証で、これを取り入れて現在試行している段階です。電子認証をきちんとものにするとなると、プロジェクト側だけでなくお客様側の意識も必要となってきます。
菊池 出水主任はどうでしたか?
出水 大きく分けると3つのイベントがありました。一つめはまず私がプロジェクトリーダとしてなにをするべきかを知り、ISOがなにかということを自分自身の理解を深めるため、書籍を購入したり、周囲の人とディスカッションすることでISOを知る努力をしました。二つめはプロジェクト内への普及です。協力会社を含めたメンバになぜISOをやるのかその必要性を意識づけるため、様々な実施要領等を、私が作ってしまうのではなくプロジェクトメンバに作ってもらいISOの手順を植え付けました。三つめはISO手順にのっとった計画の立案とプロジェクト運営です。結果を残して検証できるデータを残すこと、これが一番大変でした。
菊池 予備審査では、実際にものはやっているが結果として残っていないといった観点の指摘があったと思いますが、その辺はどうでしたか。
前田 予備審査で指摘されたのは設計変更管理です。我がプロジェクトは発注元が出している帳票類にのっとってISOプロセスを行っていたのですが、予備審査ではある変更を遡っていくとドキュメントにたどり着かないといった指摘や、承認行為がされていないといった指摘がありました。今後必要となってくるのは、発注元から出された帳票類に承認手立てを付け加えるといった努力をすることかと思います。
菊池 規範類が改版を重ねる状況下でISOプロセスを実行したわけですが、稼働的にはどうでしたか。
倉持 実施要領・企画書などのベースを作るのが大変で、初期稼働としてはかなりかかりました。ただ2年目・3年目になると蓄積された財産が流用できるものが多いので、流れにのれば最初ほど大変ではないと思います。もともとやらなきゃいけないことなのですからね。
菊池 ところで、皆さんも感じているでしょうが、比較的開発期間が長いプロジェクトはISOの規格にのっとりやすいが、工期の短いプロジェクトへの適用には色々と工夫が必要と思っています。
柿澤 現在の規範は開発規模も大きく、2?3年の工期を要するプロジェクト用のところがあるので、工期の短いプロジェクトのことはあまり考慮していません。そこを今後工夫、改善していかなければいけないと思います。
菊池 確かに今後工期の短い仕事が増えていくので規範をそのように改善していかなければいけないのと同時に、スリム化も考える必要があります。新しく来た人が規範類を全部読まなくてもポイントとなるプロセスが短期間に修得できるようにすることが課題というわけです。
笠木 認証はされましたが、まだまだ改善すべき点は多々見受けられますし、今のままのレベルで進むのであればそのうち駄目になってしまうでしょう。いまがスタート地点なのでしょうね。
菊池 来年1月の定期審査までに当本部のほとんどのプロジェクトがISOのプロセスで開発を進めるように水平展開をはかり、いずれはSE工程のみのプロジェクトにも展開したいと思っています。恐らくこの活動は「これでよい」ということは無いと思います。常にレベルアップを目指す活動を続けて行きたいと思っています。
本日はどうもありがとうございました。
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