今、盛んに行政改革や規制緩和が叫ばれているが、その中でも、小さな政府と地方自治への分権の議論も盛んに行われている。これも、中央政府への権力の過度の集中(大きいこと)と地方への権限の分散(小さいこと)の問題である。社会システムの中には多くのこの様な問題が数え切れない程存在する。行き過ぎると、何処に、最適解が存在するのか、大きなサイクルではあるが、常に、自浄作用が行われるものである。一方、生き物の世界でも巨大動物と小さな動物の対比に見る事が出来る。お読みになった方が多いと思うが、「ゾウの時間ネズミの時間」(本川達雄著)によれば、「動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。」というものである。「大きいということは、それだけ環境に左右されにくく、自立性を保っていられるという利点がある。この安定性があだとなり、新しいものを生み出しにくい。ひとたび克服出来ないような大きな環境の変化に出会うと、新しい変異種を生み出すことも出来ずに絶滅してしまう。小さければ環境の変化に弱いのは確かであるが、例えば干ばつの時だって、何処かに水、草一本でも残っていれば、そこに居たものだけは生き残れるだろう。」と述べられている。即ち、非常に大きいということは非常に特殊化していると見なせ、これは進化の究極に至ったことを意味しているのであろう。これは、コンピュ−タの世界に於けるプロプライアタリ−(特殊化)からオ−プンなシステムへの移行も類似している様に思われる。やはり、情報通信技術の世界も一種の生き物なのである。 我々の携わっている情報通信技術の世界ではなおのこと、この最適問題は重要であろう。情報通信システムの発展を振り返えってみるとこの様子が良くうかがえる。即ち、1960年頃からコンピュ−タの商用化が始まり、プロプライアタリ−な汎用コンピュ−タが各所に導入され情報化時代の幕が開かれたわけである。その後、パソコンの出現により、更に、情報化は身近なものとなると共に、システムもオ−プンなクライアント・サ−バ・システムへと変容をしてきた。 特に、最近はインタ−ネット/イントラネットといった、所謂、ネットワ−クの発展によって集中システムから分散システムへの進展は急激に進んだ。これは、システムの初期導入費用が比較的安価になるからである。然し、分散システムを導入してみた結果、導入後の運用・管理費用の負担が重要な事が分かってきて、所謂、TCO削減が叫ばれる様になってきた。要は、ト−タルな視点での最適なツ−ルの開発が求められている。 先程の動物の話になるが、サイズが極端に小さくなれば、何もしなくとも栄養物や酸素は拡散により体内に隈なく、速やかに広がっていく。然し、そのサイズは極端に小さく、球形と仮定した場合、たったの半径一ミリ以下であるとされている。これ以上の動物には、外界から、栄養物や酸素を体内に取り込む為には、それなりの循環系や呼吸系の機能をもたねばならない。 動物と同じ様に、情報通信システムに於いても、その分散系でどれだけの循環系や呼吸系の機能を持たなければいけないか。TCO削減に役立つ性能評価はその意味で極めて大切なことであろう。分散システムが自然に体内拡散するヒラムシ(平虫)やプラナリアと思ってはいけないのである。 |
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株式会社富士通ビジネスシステム 代表取締役社長 大槻幹雄 |