「SO-」フューチャーヒアリング
オンラインショッピングはコミュニケーションから生れる。
株式会社エム・ディー・エム代表取締役社長 三木谷 浩史


私たちはインターネットでオンラインショッピングを提供していますが、サービスの内容は「集客力」「システム力」「企画・サポート力」という3つに大別できます。まず集客力。これは単にトラフィックを増やすということではありません。もちろん絶対的なトラフィック量も重要ですが、もっと重要なのは店舗のファン、あるいは楽天市場のファンが何人いるかということです。このファンを増やしていくことこそが集客の要になります。そしてシステム力。私達の提供しているシステムはRMS(ラクテン・マーチャント・サーバ)という独自のシステムであり、ご契約していただいた全ての方にこれを利用して頂いています。このシステムは店舗を運営される方が簡単に商品の追加や削除またページのカスタマイズが可能であり、誰もが手軽に質の高い店舗を構築することが可能です。そして最後に企画・サポート力。これは私達のもつ経験とノウハウそのものともいえます。

私たちのスタッフはみな若いので、経験という意味でいうと数年です。小売業のノウハウという意味では短いと言えます。しかし私たちはどういう店舗が成功して、どういう店舗が失敗しているかという事例を、誰よりも多く見ながらモールの運営を行っています。その意味ではどうやれば売れるかというノウハウを結構吸収してきているわけです。会社もスタッフも若いのですが、最初の立ち上げから全て体験してきているので、一応日本では一番経験があると自負しています。その経験を踏まえ、ショップの運営に関しての支援を行っています。

成功しているオンラインショップには共通して言えることがあります。それは「真剣に売ろうとしていること」。こう言うと当り前に聞こえますが、実際に400以上ある楽天市場の加盟店の中で、半分以上の店舗が黒字経営となっていますが、その殆どが非常にモチベーションの高い店です。 そして私はインターネットショップ成功の鍵はコミュニケーションだと思っています。つまりコミュニケーションの量をいかに多くしていくかというのがモール運営側としてもショップ側としてもポイントになります。

今の楽天市場ではオークション、ギフトリマインダーのサービス、そして最近では電子メールを使って最新情報をお届けするようなことをやっていますが、今後はこの辺りのことを含めコミュニケーションの活性化をシステムとして、もっと強化していきたいと考えています。 ただしシステム化はマーケティングノウハウがたまってからです。システム化というのはアルゴリズムが決まれば実はすごく簡単で、難しいのはそのアルゴリズムを考えられるかどうかです。そしてそれは実際のマーケティングの中からしか生れないのです。

例えばアメリカの通信販売では、カスタマサポートセンターがあって、おじいさんから電話がかかってくると「今日はおじいさん、どうですか」、「寒くて大変です」という会話をして、それで「ああそうですか、当社にはこんなセーターもあるんですけどいかがですか」というヒューマンタッチなコミュニケーションがあります。言ってみればコミュニケーションの中からショッピングが生れているわけです。 このようなヒューマンタッチのコミュニケーションを実現できるのがインターネットであり、システム化することによってその部分が失われてしまったら本末転倒です。今までこれしかできなかったことが、その倍できるようになる。それがシステム化の本質です。多分この考え方が、他の方と私たちの大きな違いではないでしょうか。


三木谷浩史(みきたに・ひろし)
1965年生まれ。一橋大学商学部卒業後、1988年に日本興業銀行入行。1991年に米ハーバードビジネススクールへ留学。MBA取得後、同行企業金融開発部でM&A担当。1997年に(株)エム・ディー・エムを設立。