基本方針は決まったが、前述のようにANA のシステムは非常に複雑な状態である。「システムがバラバラなだけならいいのですが、そこにあるデータまでがそれぞれに最適化するために書き換えられてしまっています。そのため、なにかが1 つ変わると、1 つ1 つ多くのEAI によるシステム統合システムを個別に書き換えなければならない状況に陥っていました」(桑野氏)。
そこで、氏川氏と桑野氏は、まずはデータベースの統合により解決を図ることに決める。データベース全体をシンプルな構成にまとめなおし、将来的にシームレスな利用方式を可能にしようという考えだ。データベースの整合性を保ち、必要なシステム間インタフェースを効率化するために、EAI の採用がテーマになった。
EAI (Enterprise Application Integration)とは、各種の情報システムやアプリケーションを、有機的に結び、それまでバラバラに築かれた情報システム資源を、一つにまとめあげてくれるソリューションである。低コスト・短時間での統合が可能で、業務統合やデータ統合、開発・運用コストの削減、ホスト連携、BtoB 連携、Web 連携などに活用されている。
ANA では、このEAI を使って、データベースの統合と将来的な開発・運用コストの削減を狙おうというわけである。
仕事柄、両氏ともEAI の知識は得ていたが、この時点ではまだEAI の採用事例は決して多くなかった。そこで、さまざまなベンダーにアプローチし、情報を収集した。
NTTソフトウェアのチームリーダーである小泉は、ANA からの要請を次のように捉えたという。
「企業内のシステムやデータというのは、本来はひとつに集約されているべきものですが、業務の都合などでバラバラになってしまっているというのが多くの企業の実情です。そのバラバラのシステムをひとつのシステムと捉えて統合するのが私たちの役割なのですが、ANA のように28 個ものシステムがあると、それは容易ではありません。EAI パッケージを導入すればいい、という考え方では絶対に成功しません。
そのため、私たちはコンサルティングによって、一見バラバラに見えるデータやシステムを整理し、その共通項を探し、それを中心にして全体をアーキテクトすることからはじめます。このコンサルティング力が私たちNTTソフトウェアの強みで、それはシステム統合の豊富な経験に基づいています。ヒアリングをさせていただいた結果、業務と情報の連携を徹底的に見直し、最適な連携ルートの確立を目指しました。ユーザーの使い勝手を考えた上で、システム全体のグランドデザインを作り直すことからご提案したわけです」。
こうした姿勢は、ANA の考え方に一致した。氏川氏、桑野氏はその経緯を口をそろえてこう語る。
「ほとんどのベンダーの方はEAI に信頼や実績がない段階だったためか、EAIというツールが先にありきの提案でした。でも、私たちが求めたのはこちらの気持ちを受けとめて、最善の方向性を示してくれるベンダーです。その点、NTTソフトウェアは、使う側の立場にたってANA の業務課題を導き出し、それを元にシステム統合の方向性を検討しましょう、というアプローチをしてくれたので、非常に受け入れやすかったですね」。
こうして、ANAとNTTソフトウェアによるシステム統合計画は始まったわけである。

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