
NTTソフトウェア株式会社(自社事例)
急速な市場環境の変化や経営リスクの偏在化。世界同時金融不安による景気後退に陥った現在と同じように、ほぼ10年前も日本の産業界は経済危機に見舞われていました。当時、業績不振に陥ったNTTソフトウェアは、迅速な意志決定のもと、企業活動ができるようにダイナミックな構造改革を敢行。その一環として、国際的な規準に基づいた運営を図り、複数あった国際規格の統合運用を実現。継続的に進化させる中で徹底してムダを省き、現場が本当に使いやすいシステムを構築しました。
2000年から2002年にかけて、業績の低迷に悩んでいたNTTソフトウェアは、2003年より抜本的な構造改革に着手。その一環として、営業体制の強化と同時に生産性革新センターを新設し、品質トラブルによる収益圧迫を防ぐべく、リスク管理の強化に乗り出しました。
構造改革では「情報セキュリティ」をビジネスの柱にする会社として、当時はまだ一部の組織での部分適用であった情報セキュリティ(ISMS:現在のISO/IEC 27001)を1 年間で全社適用することを決断。生産性革新センターは、すでに全社適用していた品質規格(ISO 9001)と一緒に推進できないかを模索しながら、環境規格(ISO 14001)を含めた3規格を統合運用する「統合マネジメントシステム(TMS = Total Management System)」の確立を推し進めたのです。
「それまで国際規格を個別に運用していましたが、どの規格もPDCAサイクルを実行する必要性があるなど、規格の内容は異なっても、運用のための体制や仕組みには大きな違いはないことが調査でわかりました。そこでTMS 推進室を設置して各規格の専門家を集め、互いに意見交換・勉強をしながら1つのルールを作っていきました」(伊藤)。
その当時、規格間には矛盾も存在し、たとえば環境面からはコピー用紙の裏面の再利用を推奨しますが、情報セキュリティ面ではそれを情報漏えいリスクだと判断します。「そこで私たちは、原則として両面コピーを推奨。やむなく片面コピーした場合は、裏面を使わずに廃棄するというルールを作りました」(伊藤)。こうして規格分野ごとの「部分最適」から組織全体に適合した「全体最適」へ、推進側も現場側もメリットを享受できるTMSの構築をめざしました。