教授 :安田 浩 氏 (※この取材は2009年10月8日に行われたものです。記事はその当時の経済・技術状況を反映したものです。)
すでにNTT研究所では、IPTV技術を活用した新しい映像配信サービスを開発しています。2009年2月19日~20日の2日間にわたってNTT武蔵野研究開発センタで開催された「NTT R&Dフォーラム2009」で話題を呼んでいた『Tele-Sseat(テレ-エスシート)』は、その代表といえるでしょう。これは、複数のハイビジョンカメラが撮影した映像をつなぎ合わせ、巨大なパノラマ映像としてハイビジョンテレビに配信するサービスです。注目すべきは、ユーザーがパノラマ映像の観たい部分のみを自由に選択・任意に拡大できるという点です。
サッカー競技場を想像してください。パノラマ映像はピッチ全体を映し出しています。あなたは、ボールやレフェリーの視点で白熱するゲーム展開を追いかけることもできますし、ある特定の選手だけを観ることもできるのです。また、コンサートホールであれば、最適な音響が期待できる、特等席からの映像と音を楽しむことができます。NTT研究所では「スタジアムなどのS席で観戦するような、臨場感のある視聴体験を提供する」という特長から『Tele-Sseat』と名付けたそうです。
ニュース番組なども、IPTV技術を駆使することで大きく様変わりすることでしょう。生放送の報道番組を視聴している際、専門性の高い話題の場合は少し考える時間が欲しかったり、あるいは関連事項を調べたくなることがあるでしょう。そのようなとき、IPTVならば、インターネットにおける検索性をそのままテレビに持ち込めるので、ニュースの視聴中に自分で生放送と並行して、調べてみたいことを自由に検索できるようになるでしょう。
これからも、放送局から送られてきた番組をのんびり楽しむという視聴スタイルは消えることはないでしょう。しかし一方では、ユーザー自身が映像のアングルを選択したり、番組中に何かを検索したいという要望も存在します。IPTVはそんな多様なニーズを満たしていくサービスの1つとして花開いていくことでしょう。
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薄型のハイビジョンテレビやハードディスクレコーダーが普及した現代、テレビを観たり録画するための操作がずいぶん複雑になってきたと感じている方も多いのではないでしょうか。以前のテレビなら、スイッチを入れてチャンネルを回すだけで番組が楽しめましたが、今ではテレビの操作がパソコン並みに面倒になってきました。 これはインターフェイスの開発が、操作の快適性という面で追いついていないことを意味します。IPTV本来の機能と特長をフルに楽しむには、子供やお年寄りであっても高度な操作を簡単に行えるようなインターフェイスの研究開発が必要です。 インターフェイスのあるべき姿の1つとして、私は人間を真似るという発想があるのではと考えています。人間同士のコミュニケーションであれば、様子を伺いながら、相手の気に入らない話題と判断した場合には別の話題に切り替えます。これは、相手の態度やしぐさの微妙な反応を察知しているから可能な対応ですが、動作を察知するという対応を機械ができないはずはないと思います。何でもすべてボタンによる操作をしなければいけないというのは、いずれ時代遅れのインターフェイスと呼ばれるかもしれません。 たとえば人がテレビの前に来たら、それはテレビを視聴したくて来ているのか、そうではないのかを判断するなど、ある意味、人間らしく人間を見抜いて動作するインターフェイスをぜひ開発していただきたいですね。そのためには、AI(人工知能)技術の進歩も重要になってくるのではないでしょうか。 また双方向性を活かして誰もが映像を自由に配信するには、自分で撮った映像を思い通りに編集加工し、配信できる仕組みも必要です。この配信システムについても、今現在のテレビによるリモコン操作、つまりボタンを押してチャンネルを切り替えるというような簡単さが求められるでしょう。 人と人が五感を屈指して理解し合うように、操作を意識せずに思ったことが実現するインターフェイスが早く登場して欲しいと願っています。 |