教授 :安田 浩 氏 (※この取材は2009年10月8日に行われたものです。記事はその当時の経済・技術状況を反映したものです。)
IPTVが、人と人・映像をつなぐ新しいコミュニティとして進化するならば、人々が画面を通じて雑談や噂話をフランクに語らい合うような場面も多くなるはずです。これは、テレビや映画、演劇といったエンターテイメントとは対極にある、“ただその場にいる”ような、いわゆる「静的」な映像となり、話す人・聞く人の細やかな表情の変化をいかに伝えられるかが大切になってきます。
そうしたありのままの雰囲気を再現するには、テレビのフレームレート(*1)を飛躍的に向上する必要があります。現在のテレビ受像器は30fpsですが、これではウインクなどの些細なしぐさを忠実に再現できません。フレームレートを240fpsまで上げられれば、人の繊細な表情までを伝えることができるでしょう。
また、あらゆる映像が自由に選べるようになると、コンテンツによっては3Dの映像で楽しみたいという要望も増えてきます。すでに電機メーカー各社では3Dテレビの実用化に乗り出しており、今年の10月に開催された『CEATEC JAPAN 2009』でも大画面のフルHD 3Dテレビの試作機が何台も紹介されていました。2010年以降の商品化を目指していると聞いていますが、今後はさらに高精細で忠実な再現を可能にする3D映像技術の開発が加速するはずです。
さらにIPTVが普及して映像ソースが限りなく増えれば、観たい映像を選択するための操作が、今以上に複雑になるはずです。現在はテレビのリモコンがそこを担っていますが、こうしたマン-マシンのインターフェイスの分野でも画期的な進化が期待されています。
IPTVは今まさに、大きな可能性を秘めたままスタートを切ったところです。配信技術だけでなく、テレビ受像器などの視聴側のハードウェアも同時に進化を始めています。そうした技術や環境が整うことで、『ひかりTV』においても「Web3.0」のようにインタラクティブな映像を自由に楽しめる日がくることを期待しています。そして、コミュニケーションそのものがガラッと様変わりするような、大きなインパクトをIPTVは私たちに見せてくれるはずです。
【用語注釈】