情報誌・コラム|Publish・Column

ICTの潮流 / no.7
IPTV
 
2009年11月

SOFTWARRE POWER:最先端技術の導入により、
IPTVシステムを構築

NTTソフトウェア株式会社

本格的なIPTVサービスとして注目を集めている『ひかりTV』。NTTソフトウェアでは、地上デジタル放送のIP再送信(以下、地デジIP再送信)システムの開発・構築と、利用者が番組を楽しむ際のメニュー操作 に関わるポータルシステムの開発支援を行っています。このプロジェクトは短期間に最新技術を注ぎ込むことが求められ、NTTソフトウェアの開発力及び構築ノウハウが大きく問われることとなりました。

SOFTWARE POWER

公共放送としての品質が問われる地デジIP再送信

最先端のIPTV技術を駆使した新映像配信サービスであるNTTぷらら様の『ひかりTV』。その大きな魅力の1つが、地デジIP再送信です。この実現には、地上デジタル放送を一旦アンテナで受信し、それをNGN(フレッツ 光ネクスト)網のIPネットワークで送信可能なデータに変換する仕組みが必要でした。

NTTソフトウェア株式会社:古屋 和行

地上デジタル放送は、地形やビルなどの影響で難視聴エリアが生まれることが想定され、総務省ではその対策として2005年から地デジIP再送信実験に着手していました。こうした動向を受け、NTT研究所においてもIPネットワーク上における映像配信技術の開発に取り組んでおり、私たちが今回の映像配信プラットフォームを構築支援するにあたっても、NTT研究所で開発された最先端技術の実用化を支えています。

また、地デジIP再送信には、その特性からクリアしなければいけない課題がいくつかあ ります。代表的なものは、放送の同一性保持(地上波デジタル放送の画質や音声のクオリティを保持すること)を確保 しつつ、ネットワーク帯域(コスト)を削減することが挙げられます。これらの解決に向け、「H.264/AVC」と呼ばれる動画圧縮方式が導入されており、構築されたシステムの検証も、私たちが支援を実施した1つとなります。これは、携帯電話のテレビ電話機能のような低画質用途から、ハイビジョン放送などの大容量・高画質まで幅広く用いられている最新の国際標準規格です。この信号変換方式を中心に、遅延なく画質・音質ともに放送波と同等の品質を保つ配信システムを構築しました。

さらには、地上波の放送自体が県域免許になっていることから、IP再送信を行う場合でも地域を限定する必要がありました。このため、NGNの地域限定配信機能を利用して、放送地域に限定した地デジIP再送信を行いました。

サービス品質が放送波と同等である『ひかりTV』の地デジIP再送信サービス。NGN網を経由して配信された地デジ放送は、光ケーブルを『ひかりTV』対応チューナーに接続することでどなたでも手軽に楽しむことが可能です。

ストレスなく軽快に動くメニュー画面をめざして

私たちNTTソフトウェアは、『ひかりTV』のメニュー画面を司るポータルシステム(*1)の構築もお手伝いしています。

NTTソフトウェア株式会社:富田 守

『ひかりTV』では地デジIP再送信のみならず、多チャンネル放送やVOD、カラオケサービスと多岐にわたるサービスを同時に提供しています。このようにコンテンツメニューが多種多彩であるため、それを選択するためのポータルシステムの出来によって操作性が大きく左右されます。

そこでポイントとなるのが、「数多いコンテンツの属性情報をどのように管理するか」です。『ひかりTV』では、番組の作成日時やデータ形式、著作権、補足情報などのコンテンツの属性情報をXML(*2) 形式のメタデータ(*3)として標準化し、それらをNTT研究所が開発したメタサーバーで管理・運用する方式を採用しています。メタデータは一般的にまだ馴染みが少ない分野ですが、今後のブロードバンドにおけるコンテンツ流通に大きく貢献する注目の技術です。私たちは以前から、NTT研究所の技術をベースにしたメタデータ形式の標準化支援を行ってきました。そして今回、『ひかりTV』でもXML 形式のメタデータを用いたことで、標準化はさらに加速し、将来的には複数の事業者間を跨いだコンテンツ流通においても大きな利便性をもたらすと考えています。

また、『ひかりTV』におけるポータルシステムの最大の特長は、メニュー選択においてユーザーにストレスを感じさせない操作性にあります。

『ひかりTV』対応チューナー内蔵の薄型テレビには、データ放送用にBML(*4)ブラウザが標準搭載されています。メニュー画面を表示するには、このBMLブラウザを活用しますが、ブラウザの動作速度が遅いという欠点があります。

そこで、メニューページを一度ダウンロードした後は、更新された部分のみをダウンロードして書き換えたり、ページの書き換えタイミングを意図的にずらすなど独自の工夫を加えていきました。開発の初期段階では満足いかなかった表示速度についても、こうした試行錯誤によって、1 ヵ月未満の短期間で満足いく体感速度を実現することができました。

ひかりTVシステム図

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【用語解説】

*1:ポータルシステム
ポータルは「玄関」「入口」の意味。ポータルシステムは、ユーザーがサービスを利用す る際に使いやすい形で操作を提供するマン・マシン・インターフェイスの一種。
*2:XML
XMLは、文書やデータの意味や構造を記述するためのタグの1つ。特定の文字列で情報の意味や構造などを埋め込んであり、さまざまな情報を保存するためのファイルフォーマットの定義に使用される。
*3:メタデータ
メタデータとは、データに関連する情報のこと。データを効率的に管理・検索する際に用いられている。
*4:BML
BMLは、社団法人電波産業会(ARIB)によって策定されたXMLベースのデータ放送向けページ記述言語。最近のBSデジタル対応テレビには、BMLで記述されたコンテンツを再生するためのBMLブラウザというソフトウェアが内蔵されている。