概要

居場所を問わずかけたい相手に電話が確実につながるリアルタイム性を提供し、IPベースのためトータル通信コスト削減も期待できるモバイルセントレックス。社員へ固定電話に加え携帯電話を支給する企業が増える中、携帯電話を内線電話として利用できるこの次世代ソリューションのコスト削減効果が注目を集めている。自らも通信システム/機器の開発を行う株式会社宮川製作所は、時代を先取りしてNTTソフトウェアのモバイルセントレックスソリューションProgOfficeを導入。経営と業務の両面から効率化を目指す同社の取り組みを紹介する。

課題

宮川製作所の課題

これまで宮川製作所では、多くの企業と同じくPBXを用いたアナログ電話を利用していた。しかし、導入後10年近くが経過しているため、端末など保守部品の入手が難しくなってきており、組織変更や社員増員時に端末の取替えや増設が物理的に不可能という問題をかかえていた。


また、回線の増設を重ねてきた結果、電話回線数が20以上になっており、それが企業規模や業務内容に見合った適切な数なのか、コストと利用状況をもとに見直し、回線を整理・集約する必要が生じていた。


以上のことから宮川製作所ではPBXシステムの更改が数年来の課題となっていたが、新しいPBXシステムへの単なる更新にとどまらず、さまざまな要求を満たす最適な更改を模索していた。


PBX更改にあたっての同社の要求事項としては、まず課題でもあった回線数最適化による回線コストの低減と通信費削減が挙げられた。これについては、電話回線をひかり電話ビジネスタイプ( *1 )に切り替えることでコストダウンが見込めると判断。


次に、イニシャルコストをできる限り抑えた更改方法。PBXシステムの全面更改には膨大な費用が発生するため、既存システムを活かしつつ新システムを部分導入することで、初期費用を抑制可能なソリューションが検討された。


最後に、PCから電話をかけることができるソフトフォンへの対応。通信機器メーカーとして自らも最新のIP技術を取り込み、実用経験を製品に活かすことが重要と考えたのだ。「弊社はソフトフォンの受話器となるUSBハンドセットMSK USB Phoneを製品化していますが、これまではIPに対応していないPBXだったため、検証以外で自社環境に導入して実際の業務の中で使用する機会がありませんでした。そこでIP電話システムの構成要素としてソフトフォンを導入し、自社製品のヒューマンインタフェースを評価したいという狙いもあったのです」と、設備責任者である管理本部長の塩田宗平氏はシステム更改のポイントを説明する。

*1 ひかり電話ビジネスタイプ:
「ひかり電話ビジネスタイプ」は東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社が提供する法人向けIP電話サービスです。

解決へのアプローチ

解決に向けた導入システムの検討

 こうして各社のIP電話ソリューションの比較・検討を重ねた結果、ひかり電話ビジネスタイプ( *1 )への対応、既存PBXシステムに対する部分的導入への対応、そしてソフトフォンへの対応という要求事項を満たすソリューションとしてNTTソフトウェアのProgOfficeを選択。まずは部分的導入を行い、将来徐々に既存設備を巻き取っていく『段階的IP化』の方針が決定された。


既存システムへの部分的導入に関しては、内線通話や転送が新旧システム間で相互乗り入れできることが必要であり、システムに対するトータルでのコンサルテーション力と技術的な柔軟性が求められる。また、今後の段階的導入へ向けた将来的なシステム構築力も考慮し、NTTソフトウェアの提案力と技術力に期待したのである。


「弊社は現在従業員数約200名。ProgOfficeは関連会社を含めてIP内線化が可能な通信システムで、収容端末数も500まで拡張できるため、将来的なネットワーク拡充に十分な処理能力があります。また携帯電話を内線としても利用できるFMCは、NGNが視野に入れている次世代通信機能でもあり、最先端の技術を先取りできる魅力もありました」(塩田氏)。


*1 ひかり電話ビジネスタイプ:
「ひかり電話ビジネスタイプ」は東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社が提供する法人向けIP電話サービスです。

ProgOffice導入

ソリューションとその成果

構築システムとその成果

導入フェーズは、具体的なシステム設計前の検討会からスタート。多い時で週2~3回の会議の場を持ち、既存PBXシステムへの追加導入に向けて、番号計画やトラフィック測定など仕様が詰められていった。「いろいろ無理を申し上げた中に、できるだけ少ないAP(アクセスポイント)でモバイルのカバーエリアを広げてほしいという要 望がありました。そこはさすが無線技術のNTTソフトウェアさん、構内無線化に向けて試験を行い、APの最適な設置位置を割り出していただけました」(SI事業部 ソリューション営業グループリーダー 松下正年氏)。


今回のシステムでは、既存PBXシステムを残したままPBXに並置してProgOfficeを導入、両者をVoIPゲートウェイでつなぎ、双方向の内線通話や転送も可能にしている。第一段階として、固定IP電話、無線IP電話、ソフトフォンを導入。固定IP電話とソフトフォンは、新入社員など新たな従業員に割り当てていく。「これまでは、組織変更に伴う電話回線配置換の際に回線工事業者を呼んで工事が必要でしたが、ProgOfficeならLANケーブルを挿し込むだけ。手間がかからず、コスト的にもメリットは大きい」と、SI事業部ソリューション営業グループの二川雅之氏はアドバンテージを強調する。


ソフトフォンに関しては、自社のU S B ハンドセットとともに ProgOffice下で業務レベルの実用性を確認。「ヒューマンインタフェースを含め、MSK USB Phoneの使いやすさを実感することができました」(二川氏)。今後は、ロケーションの離れた拠点同士でも、例え ば同じ資料を閲覧しながら電話会議がPCのみで行えるなど、より便利な業務利用への可能性も膨らむ。

ProgOffice導入後の通信システム構成

今後の展開

今後の見通しと期待

 「本格運用からそれほど時間がたっておらず、まだ具体的な効果は数値としては得られていないものの、トータル通信費は良い結果が出ると期待している」と塩田氏。今後は、初期導入の結果を踏まえ、既存回線を巻き取りながら順次IP端末数を増やしていく。


このように予算や事業計画等に応じて段階的な導入が可能な点が、導入バリエーションの豊富なProgOfficeの特徴。さらに、モバイルセントレックスソリューションの中でもグループウェアやCRM、ERPをはじめとする業務アプリケーションとの連携もProgOfficeの強みだ。


宮川製作所でも、今後はセキュリティを強化したVPN接続を導入し、東北や中国にある製造工場とのIP内線化や、インターネットで業務用基幹システムをつなぐ展開も視野に入れている他、モバイルの活用や業務システム連携も推進していく予定だ。

(2007年7月)

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1939年9月(昭和14年)
事業概要 情報通信端末・制御機器の開発、製造及び販売
キャリアネットワークシステムや組込みソフトウェアの開発
通信・金融・流通システムや関連する端末の保守・サポート業務
電気通信工事及びファシリティマネージメント
各種電気部品、カスタム部品・モジュール等の輸入販売
資本金 1億円
従業員数 約200名(2007年7月現在)
URL http://www.msk.co.jp/

※2007年7月現在