概要

現在のコンタクトセンターは、顧客との関係構築という観点から、企業戦略上、重要な位置づけを担っている。しかし、高精度・高効率のマネジメントを行うには経験と勘だけでは限界がある。これをサポートするのが、WFMシステムだ。三井住友海上火災保険は、NTTソフトウェアのクラウド型WFMシステム『CTBASE/WFM Cloud』を採用。呼量予測の精度向上、要員配置の最適化、研修時間の確保などを実現し、外部評価機関からも高い評価を得ている。

課題

【背景】 コンタクトセンター運営の品質向上、効率化への改善が急務

コンタクトセンターの様子三井住友海上火災保険は、MS&ADインシュアランス グループの中核事業である損害保険業を展開している。カスタマーセンターは、一般相談を受け付けるお客さまデスク、各種保険専用の契約内容変更デスク、保険商品の通販を行うテレマーケティングデスクなどを運営。東京・札幌・神戸の3拠点で約500人のオペレータ・SVが、年間約150万件の入電に対応している。

主なKPIは応答率だが、2013年度までは目標を下回ることが度々あり、センター運営の品質低下や非効率なマネジメント体制の早急な改善を求められていた。コンタクトセンター企画部 企画チーム長の佐久間美奈子氏は「2008年頃から問い合わせ件数が急増したことや、過去の入電データを呼量予測に十分に活かしきれていなかったこと、要員不足などが重なり、芳しい状況ではありませんでした。そのような時にNTTソフトウェアからWFMシステムの提案を受けました」と振り返る。導入の結果、2014年度の応答率は2013年度比で約10%改善、目標値も大きく上回ることができた。

解決へのアプローチ

【選定】 トライアル運用でWFMの導入効果を見極め

採用したのは、NTTソフトウェアのクラウド型WFMシステム『CTBASE/WFM Cloud』だ。素早く運用をスタートできる点やスモールスタートで習熟に応じて導入範囲を拡張できる点を評価してクラウドを選定した。

だが、センターマネジメントを高度化するためにWFMシステムが必要と考えていたものの、検討当初はWFMの運用成功事例が少なく、三井住友海上が本当に運用を定着化できるか不安を抱えていたという。また、経営層に対しても投資対効果(ROI)などの導入効果を説明する必要があった。そこで、まずはNTTソフトウェアの導入コンサルティングを受け、トライアル企画からスタートし、ROIや業務への適合状況を見極めた上で導入を判断することにした。

システム運用イメージ従来の予測手法では「午前/午後/夜間」といった長時間サイクルでしか予測できなかったが、WFMシステムを利用することでスキル毎の時間帯別の予測が可能となり、かつ予測呼量に対してオペレータリソースを最適配置できることをトライアル検証にて確認した。並行してWFMシステムを運用現場で使いこなせるか検証した結果、業務効率、サービス品質向上ともにセンターが目指すべき高度な運用が実現できると判断し、WFMシステムの導入を決定した。

「提案内容を見て導入の意思決定を行い、2014年1月からシステム構築に入りました。事前に当社要望を伝え、何度となく協議を繰り返して十分に意思疎通 ができていたので、システム構築段階では要求事項の確認だけで、新たな問題が発生することもなくスムーズに進捗できました」と、導入プロジェクトの責任者を務めた同企画チームの寳寄山直樹氏は説明する。システム開発は2014年3月末に一段落。4月からは運用定着に向けて東京・札幌・神戸の3拠点での体制 整備に取り掛かった。

【効果】 呼量予測の精度が上がりマネジメントがスムーズに

電話はコールリーズンに応じて、全国の専用デスクにいる手の空いたオペレータに着信する。呼量予測は東京で行っており、翌月の予測を各拠点に伝えて社員スタッフがシフトを組むという体制を取っていた。しかし、そもそもの予測精度が高くなく、毎週のように“要員調整のための会議”を開催しており、その工数は無視できないものだった。また、社員スタッフが調整会議に稼働を取られてしまい、本来やって欲しいオペレータフォローやセンターの現場マネジメントに従事できていなかった。

そこでWFMシステムの導入を機に、ブースコントローラー(寳寄山氏が責任者)と呼ぶ専任担当を東京・札幌に起き、サブスタッフを加えた3名で呼量予測とシフト管理を行う体制を敷いた。その結果、ブースコントローラーにWFM業務が集約され、以前のような要員調整会議はなくなり、各拠点にいたシフト担当の社員スタッフも本来のマネジメント業務に専念できるようになった。また、運用マニュアルを整備し、現場でのシフト管理と教育体制の見直しを図り、オペレータのスキル向上も同時に実現できるように改革を行っている。

サンプル画面「呼量予測では、過去の入電データから大体の傾向把握はできていましたが、それが何に起因するのかわからず、精度が落ちていました。今回の業務改善にあたり、テキストマイニングを使ってコンタクトリーズンを分析し、照会内容の傾向を呼量予測/要員配置のチューニングに活用しました。また、オペレータ指導にも分析結果を活用し、予め通話の傾向に対して対策を打っておくことで、Before/Afterでは照会件数が大幅に削減しました」(同企画チーム課長の岩前孝佳氏)

寳寄山氏は「まず東京で体制を整備し、札幌・神戸へと段階を踏んで展開しました。NTTソフトウェアのSEが非常にフットワークが軽く、質問を投げると即日に回答が来たり、来社して調整いただいたりと、サポート面でも助けられました」と話す。こうしたシステム面と運用面の調整を繰り返し、2014年7月に本格稼働を開始した。

今後の展開

【展望】 年間4500万円のコスト削減、グループ内へのノウハウ展開も

導入後、呼量予測精度の向上に伴うシフト最適化により、人件費換算で約3,600万円の削減、管理者のシフト作成ロードの短縮により約900万円のコストを削減し、トータルで年間約4,500万円の削減効果になるという。さらに「時間帯毎の予測ができるようになり、呼量が少ない時間帯にオペレータ研修を組めるため、効率的な研修スケジュールの作成やリソースの有効活用が可能となりました」と、岩前氏は強調する。

佐久間氏は「今後は、このノウハウを当社の他のデスクへ展開すると同時に、MS&ADグループ全体へ広げていければと考えています」と、今回の導入効果について自信を見せる。

三井住友海上火災保険:岩前 孝佳 氏(左)、佐久間 美奈子 氏(中)、寳寄山 直樹 氏(右)

お客様プロフィール

 お客様プロフィール
設立 1918年10月21日
事業概要 MS&ADインシュアランス グループ ホールディングスの中核である損害保険事業会社。保険引き受けや資産運用のほか、債務保証、投資信託の販売業務、確定拠出年金の運営管理業務、自動車損害賠償保険事業委託業務などを展開している。グループ会社には、あいおいニッセイ同和損害保険や三井ダイレクト損害保険などがある。
資本金 1395億9552万3495円
従業員数 14,859名
URL http://www.ms-ins.com/

※2015年3月現在

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